高円寺エトアール物語

多くの方に高円寺のエトアール通り商店会の魅力を知ってもらうため、当商店会と実在する店舗が登場するリレー形式の短編小説「高円寺エトアール物語」を刊行しました。

昔エトアール通りに映画館があったことなどを盛り込みながら、三人の作家がそれぞれにエトアール通りの街を取材し、イメージをふくらませて書き上げた小説は新しい試みとして評判を得ました。
この冊子を通し、より多くの方に愛される商店会となっていくことを願っています。

小説「高円寺エトアール物語」全3巻は、エトアール通り商店会でお買い物をされた方に配布しています(なくなり次第終了)。

また、2015年2月7日(金)~15日(日)には、エトアール通りの3店舗を会場に、「高円寺エトアール物語」刊行を記念した写真展を開催予定です。
こちらもぜひ足を運んでご覧ください。

第1巻「天狗キネマ」

2014年10月9日発行
著・増山かおり

高円寺エトアール物語 第1巻「天狗ガールズ」(著・増山かおり)
高円寺エトアール物語 第1巻「天狗ガールズ」(著・増山かおり)

第1巻「天狗キネマ」は、天狗のお面をかぶったハードロック・バンド「テングス」に恋い焦がれ、彼らの聖地巡礼に夢中になる美代子と桃子のサブカル愛溢れる物語。

エトアール通りを古くから見守る老舗「天米」は、テングス行きつけの天ぷら屋として描かれます。

「この八○○円の天丼に卵の天ぷらを乗せるのが、絶品らしいよ」
テングスと同じ椅子に座り、テングスと同じものを食べる。二人は、テングスとのかつてない一体感を味わっていた。

 なんでも、その天丼に乗っているほたてがとにかくぷりぷりで、それをトロトロの卵とからめるのが最高なのだそうだ。テングスは、このほたてを食べ、ああぷりぷりしているなあと感じたのだ。そうして、二人もいま、このほたてのぷりぷりを感じている。
「すごく、おいしいね!」
「うん!」
(高円寺エトアール物語 第1巻「天狗ガールズ」本文より)

増山かおり(ますやま・かおり)
1984 年青森県七戸町生まれ、東京都江東区育ち。フリーライター。
著書に「JR 中央線あるある」(TO ブックス)など。高円寺フリーペーパー「SHOW-OFF」などで執筆。

第2巻「キネマボーイズ」

2014年12月11日発行
著・半澤則吉

高円寺エトアール物語第2巻「キネマボーイズ」(著・半澤則吉)
高円寺エトアール物語第2巻「キネマボーイズ」(著・半澤則吉)

かつて大学で「キネマ研究会」に所属していた男性の一人称で語られる物語。
行きつけの喫茶店のマスターの依頼で急遽短編映画を撮影することになった主人公の男性と腐れ縁の男友達、そして初めて知り合った女優のエピソードが綴られていく中に、エトアール通り商店会の実在の店舗名が登場します。

 今思えば、あのタイミングで高円寺にやってきて正解だったのだと思う。それまで住んだことのなかった東京の西側の街は、田舎に生まれ育った僕の気勢になんとはなしにフィットした。安い飲食店も多いし、服も古着ばかり着ていた。彼女もそう言えば古着を好んで着ていたように思う。特に入り口に桃色の馬が鎮座する古着屋『ガイジン』がお気に入りで、そこで買ったかわいらしいワンピースを何着も持っていた。
「高円寺っぽくて良いでしょ」
「ね、何だろうね、この高円寺感」
「そう言えば、昔は高円寺にもツタヤがあったんだけど、なくなったんだよね。まさかの撤退」
 なぜか自慢げに彼女が教えてくれたのは僕らが出会って間もない頃だ。この娘は何を嬉しそうに言っているのだろうと首をかしげてしまったが、今はあの時の彼女の気持ちがなんとなく分かる。
(高円寺エトアール物語 第2巻「キネマボーイズ」本文より)

半澤則吉 (はんざわ・のりよし)
1983 年福島県二本松市生まれ。ライター。
商業雑誌のライターを生業としながら、ノンフィクション誌『季刊レポ』などに 執筆。

第3巻「天狗キネマ」

2015年2月12日発行予定
著・枡野浩一

高円寺エトアール物語第3巻「天狗キネマ」(著・枡野浩一)
高円寺エトアール物語第3巻「天狗キネマ」(著・枡野浩一)

歌人である枡野浩一さんは、吉祥寺を舞台にした小説「ショートソング」がヒットし、また、芸人としても「詩人歌人と植田マコト」で活躍中。
今回の小説は作者の私小説のように展開し、作者の感情の動きとともにエトアール通りのお店が次々と登場する内容になりました。ぜひ「高円寺エトアール物語」を入手してお確かめください。
もちろん途中には短歌も登場し、様々な魅力が楽しめる一冊です。

やんなくちゃ
なんないときは
やんなくちゃ
なんないことを
さあやんなくちゃ
 
困ったときに脳裏に浮かぶ自作短歌である。
黒地に白い文字で「歌人」とプリントされたTシャツ。白いバスタオル。茶色のタオルケット。それらのすべてが、たっぷりと水を含んでいる。ただの水ならまだしも、黒い水だ。いつもはスケッチブックを持ち歩くために利用しているオレンジ色の大きな肩かけ袋にそれらをまとめて詰め込んで、僕は阿佐ヶ谷から高円寺までタクシーに乗ることにした。
(高円寺エトアール物語 第3巻「天狗キネマ」本文より)

枡野浩一(ますの・こういち)
1968年東京・西荻窪生まれ。歌人・芸人。
著書に吉祥寺を舞台にした短歌小説『ショートソング』(集英社文庫)など。SMA 所属。

「高円寺エトアール物語」写真展

かつて映画館のあったエトアール通り。小説の写真撮影を担当した写真家・佐藤正純が、映画をモチーフに新たに写真を撮影しました。
エトアール通り商店会の懐かしく、また新しい魅力をお楽しみください。

鈴木清順監督「けんかえれじい」にオマージュを捧げた作品(写真・佐藤正純/撮影場所・光)
鈴木清順監督「けんかえれじい」にオマージュを捧げた作品(写真・佐藤正純/撮影場所・光)

会期 2015年2月7日(土)~2月15日(日)

会場(3会場に違う作品を掲示しています)

写真家 佐藤正純(さとう・まさずみ)
1984年茨城県水戸市生まれ。芝浦工業大学卒業。
フリーランスの撮影助手として映画界に入る。
その後メイングラウンドをスチールに転向。

オリジナルエコバッグ配布

2015年2月12日より、全3巻の応募券を集めるとオリジナルエコバッグと引き換え可能。(なくなり次第終了)
<引き換え場所>
セブン-イレブン高円寺南店(03-3315-0322・杉並区高円寺南3丁目44-13)

「高円寺エトアール物語」について

主催・発行 エトアール通り商店会
企画・運営 有限会社 HOT WIRE GROUP
デザイン 有限会社 LOVIN’Graphic

校閲 高津昌之

イラスト 樋口達也 (ひぐち・たつや)
1973 年広島市生まれ。イラストレーター。宇都宮市在住。
沼田元氣主宰『こけし時代』に絵と文によるエッセイ連載中。

協力 中央線あるある PROJECT
問い合わせ 03-3313-5589(HOT WIRE)
© エトアール通り商店会 2014年 Printed in Japan

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